「ボストン、沈黙の街 ウィリアム・ランディ(早川文庫HM)」
読了につき、感想をアップ。



「『廉価版ミステリ』はこれだ!!」のまとめをば。

第一回目は「廉価版ミステリ購買結果」国内編


結果表はこちらを参照してください。


購入理由について。

  • 「持っていないもの」
  • 「手元に置いておきたいもの」

といったところが多かったです。


作品の選定と購買結果について。
やはり、このリストでは納得しないと言う方もいらっしゃいましたが、概ね賛成していただけたようです。
僕らのスタンスは「廉価版ミステリ談義1」で述べていますが、国内に関しては、
「乱歩・横溝・鮎哲といった全集などでFeat.されたところと、島田荘司をはじめとする「新本格」が台頭するまでの、抜けてしまった時代や作家」
とかすりさんがいうように、綾辻行人二階堂黎人森博嗣といった新本格以降メフィスト賞作家をあえて外した選定となりました。当初、打ち合わせをした際には、
綾辻行人の「十角館の殺人」を基点として、それ以前とそれ以降で5作品ずつを選んで見ました」
と第一次選考作品もみせてもらいましたが、かすりさんの苦悩と熟考の結果、今回の10作品となりました。

結果の数字だけを見ると購買率が40%にとどまってしまったので、意見がわれたのかなといったのが正直な感想です。
作家は今回取り上げたメンバーで良しとした場合、
「選ばれた作品が廉価版として評価できるのか否か」
そこに論点が集中した感じがします。
東野圭吾折原一島田荘司など作品数も多くシリーズも多彩なので、今回選んだ作品ではなく違う作品の方が良いという意見が目に付いたと思います。こういった意見の対決も面白さのひとつだと思っています。

そんな中、目を引くのは、西村京太郎の「殺しの双曲線」が購入率でトップを奪ったこと。
「西村京太郎=時刻表トラベルミステリ」というのが定着した今、初期の本格色がつよい作品の評価が高い。この作品に限らず、「天使の傷痕」の社会派、「消えた乗組員」海上法廷もの、「D機関情報」のスパイサスペンスと、ざっと挙げただけでも、時刻表ミステリの影に隠れてしまった初期傑作があります。
例えば、「殺しの双曲線」を廉価版で読んで、時刻表ミステリしか知らない西村京太郎読者が初期作品を読むといった、掘り起こしができれば廉価版企画のひとつの成果だと思うのですが。

海外ミステリにくらべ、読者率が高い国内ミステリ。全体的に購買という着眼点では苦戦しましたが、作品選びでの話題の広がりや、西村京太郎の初期作品の再評価など、一定の成果はあがったと思います。
今後、ミステリサイトのコミュニティの場で、廉価版ミステリにふさわしい作品はナニという話題が取り上げられたらと思います。

なんだか、まとめになっているんだか、いないんだか・・・。
明日(たぶん)は「廉価版ミステリ購買結果」海外編です。