「ゴシカ」

テレビのCMでは、結構ホラー色が強く怖そうな感じですが、実際はサスペンス色の強い映画でした。怖いの苦手な方も見れますよ。

ストーリーはこちらを参照
ホラー専門製作会社のダークキャッスルが作成した4作目。1作目「TATARI」、2作目「13ゴースト」はリメイクで、3作目「ゴーストシップ」と今回の「ゴシカ」がオリジナル脚本。
ホラー映画としての評価ははっきり言って低いです。怖がらせ方に的が絞れていない感じ。今はやりのジャパニーズホラーのような心理的に怖いと訴えかけるのか、ハリウッド伝統の音と映像でビックリさせたいのか。どちらも中途半端なまま、時間ばかりが過ぎていく印象を受けました。この映画の製作にかかわっている、ロバート・ゼメキスが監督した「ホワット・ライズ・ビーニーズ」に雰囲気が似てました。
では、サスペンス映画としての評価はと言うと、これもまた微妙。
ミランダの失われた記憶の呼び起こしの部分を、もう少し大切に書いて欲しかった気がします。なし崩し的に事件の真相が描かれているようで、物足りなさを感じます。
それと、ミランダを取り巻く脇役の立て方がいまいち。女囚のクリエと医者のピートが割とキャラクターとして重要な部分を担ってるだけに、ミランダを軸としたホラーな筋と、サブキャラが追いかける筋とをつくり、二つの筋がクロスした時に事件の全貌が見えるようにしたうえで、最後にどんでん返しを持ってきた方が、ストーリーの緊張感とメリハリがついたような気がします。

最後15分(事件の真相がわかってから)で、この映画が積み上げてきた物を全部ぶち壊してくれたのは、間違いない。

配役は良かったと思いますよ。キャーキャー悲鳴をあげるだけの主人公ではないので、ハル・ベリーの苦悩する演技だとか、気だるく妖しげなペネロペ・クルスとか。
刑務所に収監され、幽霊に悩まされるようになってからのハル・ベリーがもっとやつれていれば、良かったのにと思うのは贅沢でしょうか。ペネロペのやつれた感じが際立ったから、余計にそう思ったのかも。


結論としては、サスペンスとホラーの融合は無理があると言うことになるのでしょう。


血飛沫ドバーっていうのも良いんですが、閉鎖空間での逃れようのない、じわじわかつ心底怖いホラー映画を作ってくれないかなぁ・・・。