感想

聖骸布血盟 上巻 (ランダムハウス講談社文庫)

聖骸布血盟 上巻 (ランダムハウス講談社文庫)

聖骸布血盟 下巻 (ランダムハウス講談社文庫)

聖骸布血盟 下巻 (ランダムハウス講談社文庫)

(上巻)キリストの聖骸布が保管されている、トリノ大聖堂で火災が発生。焼跡から発見されたのは、”舌のない男”の焼死体だった。その2年前同じ聖堂で逮捕された窃盗犯にもやはり舌がなく、指紋もすべて焼かれていた。美術品特捜部部長マルコは、2つの事件の関連を疑い捜査に乗り出す。だがこれは、やがて世界を震撼させる恐ろしい陰謀劇の序章に過ぎなかった・・・。
聖骸布をめぐる謎と歴史のうねりが織りなす、歴史ミステリ巨編

(下巻)収監されていた”舌のない男”を囮にし、その背後にある秘密組織を暴こうと作戦を練る美術品特捜部。一方、独自に事件の調査をつづけるジャーナリストのアナも、聖骸布テンプル騎士団との歴史上のつながりに気づき、刻々と真相へ近づいていく。しかし、そんな彼らの動きを封じるべく、影の世界的権力者によって下されたある”決定”とは!?
衝撃のラストに向け、二千年の血塗られた歴史が捜査員たちに襲いかかる。


中学・高校では深く勉強する事もないであろう、キリスト教にまつわる歴史。
大学で専攻して勉強でもしてなければ、日常で触れることの出来ない分野だと思う。
ミステリを読みながら、中世のキリスト教にまつわるエピソードを吸収できるのであれば、こんな便利なことはない。
本書はそういう位置付けである。
聖骸布については、歴史だけでなく、炭素14などの調査・分析などの薀蓄ネタを盛り込んで欲しかった気もする。


物語の半分を占める、聖骸布にまつわる歴史的出来事の件は興味を持って読むことが出来た。
ダヴィンチ・コード」のスマッシュヒットに押され、この手の西洋の歴史を題材にしたミステリが氾濫しているが、すべてが傑作ではないということを感じざるを得ない作品だった。