感想
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/10/25
- メディア: 文庫
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不可能犯罪、密室殺人、読者への挑戦状が挿入された犯人当て、大胆不敵なミスディレクションなど初心者からマニアまで楽しめる本格ミステリ・アンソロジー。選者・法月綸太郎ならではの風刺の利いたものや、本格エッセンスが凝縮された小説などバラエティに富んだ作品が満載!
イギリス、アメリカ、日本の三つの国からセレクトされた選りすぐりの謎にあなたも挑戦してみませんか?
法月綸太郎が選ぶ、洗練された12の短編。4つのテーマの決まった章にイギリス、アメリカ、日本のミステリを選び、読み比べる面白さもあり、お得な一冊になっている。
さすが、法月綸太郎、選ぶ作品のセンスは素晴らしい。
<眉につばつけましょ章>
「ミスタービック ウディ・アレン」
「神様をさがしてほしい」という、雲をつかむような依頼。哲学のとん知で切り抜けるが、ピントが合わせ難い感じもする。
ウディ・アレンということで、映画的な感覚で読めば違った見方も出来るかも。
「はかりごと 小泉八雲」
これもとん知落ち。八雲にミステリを見出すという感覚がすごい。
「動機 ロナルド・A・ノックス」
乱歩が「意外な犯人」「異様な犯行動機」の極端な作例と紹介したそうだが、結局最後は煙に巻かれた感じ。こういう後味好きだ。
<密室殺人なぜで章>
「消えた美人スター C・デイリー・キング」
してやられたと思わせる。この手のパターンは短編では常套なのに、ラジオのニュース速報と刑事との電話のやり取りだけで纏め上げてしまうのは凄い。
「密室 もうひとつのフェントン・ワース・ミステリー ジョン・スラデック」
密室の引き出しがいっぱいあることは分かりました。どれを使うかは、犯人と作者の自由ってことですね。
「白い殉教者 西村京太郎」
わざわざ、日比谷野音でそれをやる必要はあったのか?実際の殺人より、日比谷野音でやったことのほうが、機転が利いていたってことで。う〜ん、雪密室。
<真犯人は君で章>
「ニック・ザ・ナイフ エラリー・クイーン」
法月さんはこのパターン好きなのかしら。クイーンだけにそつなく纏まってます。ひねりもないけど・・・。
「誰がベイカーを殺したか エドマンド・クリスピン&ジェフリー・ブッシュ」
これって本格なのかな??自分にはいまいち理解不能だった。何回か読めばいいのかしらん・・・。
「ひとりじゃ死ねない 中西智明」
ずるいなぁ。まんまと騙されちゃいました。でも、最初の犯行ってどうやってやったんだろう?
<おわかれしま章>
「脱出経路 レジナルド・ヒル」
あの環境下でよくあそこまで頭がまわるなぁ。あんなに正気で行動できることがすごい。
「偽患者の経歴 大平健」
この実話はすごい。見事なまでの騙し方と、精神科医ならでは論理的推理。おみそれしました。
「死とコンパス ホルヘ・ルイス・ボルヘス」
ボルヘスの作品って、数学的に感じるのは私だけだろうか?この作品も数学的美しさをひしひしと感じます。