感想

絞首台の謎 (創元推理文庫 118-15)

絞首台の謎 (創元推理文庫 118-15)

読了。

不気味なほどに精密な絞首台の模型。この面妖な贈り物を皮切りに、霧深いロンドンに怪奇な事件が続発する。霧の中に巨大な絞首台の影が浮かび上がり、喉を掻き切られた死者がリムジンを駆って夜の街を疾走する。そして、17世紀の絞首刑吏ジャック・ケッチを名乗る怪人物から届いた殺人予告。この悪夢のような事件に立ち向かうは、名探偵アンリ・バンコラン。カー初期の雄編

カーの初期作品。
創元推理文庫で2004年秋の復刊フェアで復刊。
死者が運転する車といい、絞首台の模型といい、霧深いロンドンの描写といい、カーの描く不気味感がたっぷりと堪能できる作品。
カーの初期の作品は「夜歩く」を筆頭に、すごく丁寧に書かれている印象が強い。なので、最後の謎解きも無理を感じることも無く、納得の終焉と言う感じがする。こういう初期の土台があるからこそ、H・M卿やフェル博士が表舞台に出てきたときの輝きが違うのかもしれない。
カー未体験の人にもお薦めできる作品だと思う。
ラストのブラックな落ちも効いていて、面白さも折紙付き。