2015年3月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:2428ページ
ナイス数:150ナイス

魔女遊戯 (集英社文庫)魔女遊戯 (集英社文庫)感想
魔女狩りを研究テーマに掲げたドイツからの留学生が、目を繰り抜かれた衝撃的な死体で発見される。テーマは暗いが主人公の女性弁護士と元警官の遺族の秘書が、なかなか明るい性格で事件の陰湿さを薄めている。この二人、意外といいコンビで、掛け合いが楽しい。怪しげな人物を多く配置していて、捜査部分は読み応えはあるが、スピード感がない上に、魔女狩りに関する蘊蓄が深くないこともあり、作品の方向性としては中途半端な印象。個人的には、サスペンス性を排除してでも、もっと『ナインスゲート』のように薀蓄を掘り下げて言って欲しかった。
読了日:3月31日 著者:イルサシグルザルドッティル
仮面舞踏会 (創元推理文庫)仮面舞踏会 (創元推理文庫)感想
1920年代のヨーロッパにおける社会情勢を事件に絡めたのはいいのだが、ミステリ小説として料理しきれずに終わってしまった印象。ユーモアを前面に出しているわけでもなく、トリックや謎解きを中心とした本格要素が強いわけでもなく、作者がプロットを持て余してしまった。ヘミングウェイピカソなど実在の人物と、ミステリの女王を彷彿とさせる人物を登場させることに拠り所を置かざるを得ない小説になってしまったので、間延びしてしまった感じ。いっそ、前作同様フーディーニを探偵役に据えたミステリにした方が良かったのかも知れない。
読了日:3月25日 著者:ウォルター・サタスウェイト
名探偵登場 (創元推理文庫)名探偵登場 (創元推理文庫)感想
フーディーニとコナン・ドイルのある意味鉄板の組み合わせなんだけど、コナン・ドイルの活躍の場はほとんどない。貴族の屋敷、交霊会、幽霊、密室とくれば、巨匠カーを想像する。トリックの突拍子のなさもカーばりで、なかなか楽しめた。序盤の人物相関や主人公達のまわりで起きる怪事件や密室殺人など、本格のテイストを全面に押し出していて、第2部の終わりまでは本格ミステリとして読ませる。第3部から登場したロンドンの敏腕刑事との推理対決から事件解決編は、破茶滅茶な展開へ。結末で本格ミステリとしては腰砕けだけど、楽しいミステリ。
読了日:3月19日 著者:ウォルターサタスウェイト
グレイストーンズ屋敷殺人事件 (論創海外ミステリ)グレイストーンズ屋敷殺人事件 (論創海外ミステリ)感想
しつこいくらいに5分間に起きた殺人の可否とアリバイが書かれていて、最後まで冗長的だなぁと思っていたら、作者仕掛けた罠だった。このしつこさに目を背けたくなるのだが、背けた時点で読者の負け。少数の容疑者をアリバイを元に丹念に排除すべき人物と残すべき人物とを選り分け、最後まで残った容疑者も枠の外へ追いやらなければならなくなった時に、それまでに丁寧に張られていた伏線が効力を発揮しだすのだ。作者が書いたミステリとしては7作目にあたるようだが、セイヤーズが認めた実力派としてグッと説得力を増した作品に仕上がっている。
読了日:3月15日 著者:ジョージェットヘイヤー
七人目の陪審員 (論創海外ミステリ)七人目の陪審員 (論創海外ミステリ)感想
いろいろ書くとネタバレになるので、感想が難しい。ぶっちゃけ「法廷ミステリ」の体はなしているはいるが、純粋な「法廷ミステリ」ではなく、どちらかというと「ユーモアミステリ」の部類に入るのではないだろうか。 主人公が持つ事件に対しての「恐怖」と、自分達の思い通りに事が運ばなくなることで生まれる群衆の「恐怖」が、主人公の心情を中心に書かれていて良いサスペンスに仕上がっている。どこか、フランス革命時に国王を始めとした主要な国のトップの首が刎ねられるのを見て、民衆が盛り上がっていくフランスの残虐性と同じものを感じた。
読了日:3月11日 著者:フランシスディドロ
紺碧海岸のメグレ (論創海外ミステリ)紺碧海岸のメグレ (論創海外ミステリ)感想
フランスミステリは、ショッキングな殺人シーンとサスペンス性が強い印象だが、メグレ警視シリーズは静かな作品イメージを個人的に持つ。本作はメグレ警視が紺碧海岸(コートダジュール)での殺人を追う。栄華と退廃という人間の表と裏を、少ない登場人物と風景描写で見事に描き切っている。事件に強いスポットを当てていないが、海岸線の寂れたバーの女2人の心情を通すことで、犯人が殺人に至る刹那さを引き立ているのだ。上層部からは「波風を立てるな」と念を押されていることもあり、メグレの内に向く感情の描写も読みどころのひとつである。
読了日:3月9日 著者:ジョルジュシムノン

読書メーター

2015年2月の読書メーター
読んだ本の数:8冊
読んだページ数:3085ページ
ナイス数:122ナイス

ミラノ殺人事件 (扶桑社ミステリー)ミラノ殺人事件 (扶桑社ミステリー)感想
馬が合いませなんだ。すんません。
読了日:2月28日 著者:P.フェラーリ,S.ジャチーニ
そして医師も死す (創元推理文庫)そして医師も死す (創元推理文庫)感想
ディヴァインの上手さが光る1作。事件の深層を探っていくことによって、よそ者と土地の有力者とが対立する構図を描き出しながら、少ない登場人物でフーダニットを繰り広げる。主人公の一人称で物語が進められていくので、敵方の容疑者を意図的に怪しく見せながら、見方の容疑者に対しても疑いを拭い切れないもどかしさ。そこに第三者の友人でもある警部補が中立的な立場の推理を挟み込んでくるので、読者は霧に包まれた感覚になる。派手なトリックなどを使わずとも、登場人物の行動と動機を論理的かつ冷静に読み解けば、自ずと糸が解けていく妙。
読了日:2月26日 著者:D・M・ディヴァイン
天使の鬱屈 (講談社文庫)天使の鬱屈 (講談社文庫)感想
シリーズ最終作。時代は遡って1950年代。『天使の憂鬱』で登場した謎の詩人フランシス・ユールグリーヴに迫っていくのかと思いきや、前2作の重要人物がユールグリーヴにまつわる誰々でしたという感じで幕を降ろしてしまった。階段を外されたような、オチのない落語を聞かされたような、なんとも尻切れトンボ。ここまで登場人物の出生や配置が決まったのだから、『天使の遊戯』の後日談を書いてもらって現代でエンジェルとユールグリーヴにまつわるエピソードに決着をつけて欲しかった。そこを書かないことで読者の想像が膨らむのを狙ったか?
読了日:2月22日 著者:A.テイラー
天使の背徳 (講談社文庫)天使の背徳 (講談社文庫)感想
ミステリというよりも、ゴシック・ホラーの雰囲気を強くだした作品に様変わりしている。シリーズ1作目『天使の遊戯』の登場人物である司祭の過去を描いており、なかなか興味深い。また『天使の遊戯』で誘拐事件の主犯格のエンジェルについても書かれているが、エンジェルの深層にまで達しておらずこちらはとてももどかしい。『天使の遊戯』からの謎は解けつつあるものの、本作で新たに謎が生まれたこともあり、3作目を読まざるを得ないのだ。怪しい詩人や司祭のさらに秘められた過去など、次作で全ての伏線が回収されているのかが楽しみである。
読了日:2月16日 著者:アンドリューテイラー
天使の遊戯 (講談社文庫)天使の遊戯 (講談社文庫)感想
「Requiem for an ANGEL」シリーズの1作目。4歳の少女の誘拐を軸に話は進んで行く。パートは2つ。誘拐された少女の母親の視点パートと犯人一味のロリコン男視点のパート。これと言った見せ場もないままに最後に誘拐事件は解決されて終わる。が、誘拐の主犯格エンジェルの過去や母親側に登場する司教の謎、それに副司教の母親に罵声を浴びせ自殺した老女の謎など、伏線を張りっぱなしになっていて、2作目以降を読まざるを得ない状態で終わる憎い構成。単品でも楽しめるとあるが、シリーズを通して読みたくさせる1冊である。
読了日:2月14日 著者:アンドリューテイラー
放送中の死 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)放送中の死 (ヴィンテージ・ミステリ・シリーズ)感想
ラジオの生ドラマ放送中に殺人事件が起きる。それも登場人物がまさに殺される場面で実際に殺人が行われていた。なかなか大胆なプロットだし、当時のラジオドラマの雰囲気やBBC内部の建物構造やスタッフ配置などを、見取り図やキャスティングシートを使っていかにもな本格雰囲気を出していることもあり、興味深く読める作品だ。一見偶然の積み重ねに見えるアリバイトリックも、それなりの説得力もあったが、動機が弱いか。サスペンスチックなクライマックスの後に説明される事件の深層で伏線も回収されており、本格ミステリとしても及第点だ。
読了日:2月9日 著者:ヴァル・ギールグッド&ホルト・マーヴェル
ペニクロス村殺人事件 (1958年) (世界探偵小説全集)ペニクロス村殺人事件 (1958年) (世界探偵小説全集)感想
著者が元警察官ということなので、緻密な捜査を書き込んでくれているかと思っていたら、全然そんなことはなく、普通のサスペンス小説だった。幼女殺しというデリケートな素材は素材だけで、犯人の動機などの膨らみがなくちょっと拍子抜けしてしまう。ある証拠の見聞と証拠が生きるか死ぬかの時間要素に関しては、なかなか面白い紐付けだけど、犯人特定の決め手としては少々脆弱な感じもなくもない。もっと警察小説にしてしまうか、幼女殺しのドラマ部分をふくらませてくれればいい作品になるのに、期待して読んだ分、ちょっと残念な結果だった。
読了日:2月5日 著者:モーリス・プロクター
鯉沼家の悲劇―本格推理マガジン 特集・幻の名作 (光文社文庫―文庫の雑誌)鯉沼家の悲劇―本格推理マガジン 特集・幻の名作 (光文社文庫―文庫の雑誌)
読了日:2月3日 著者:

読書メーター

■【読書】
2015年1月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3700ページ
ナイス数:180ナイス

悪魔に食われろ青尾蠅 (創元推理文庫)悪魔に食われろ青尾蠅 (創元推理文庫)感想
再読。本作の特徴は衝撃的なラストよりも、幻想的な文体にあると思う。儚げでかつ不安で自身なさ気、しかしその中で絶対的に主張している強い意志のようなもの。現在進行形の現実と回想と妄想から織りなされる、狂気と凶気。読者はそんな文章と主人公エレンに翻弄されて、エレンの心の中の闇に捕らわれで迷わされる。エレンへの感情移入とも違うし、エレンの視点とも違うし、なんとも不思議な感覚の読書体験ができるので、是非読んで欲しい傑作である。
読了日:1月30日 著者:ジョン・フランクリン・バーディン
モノグラム殺人事件 (〈名探偵ポアロ〉シリーズ)モノグラム殺人事件 (〈名探偵ポアロ〉シリーズ)感想
ポアロの正統続編というこで期待する人も多いと思うが、ポアロという名ではあるものの、クリスティのポアロものと全く別物として読み事をお薦めする。ミステリとしては容疑者が嘘をついていることが前提条件となっている推理なので説得力が薄く、深層の裏付けも弱いから、脆弱さを拭い切れない。また、人物の相関関係についても必要以上に複雑にしているせいか、全体像をつかむのに苦労する。殺人のプロットは面白いものはあるので、ポアロ正統続編という足かせを外して、作者オリジナルのミステリに仕上げた方が成功していたのではなかろうか。
読了日:1月28日 著者:ソフィーハナ
白の迷路 (集英社文庫)白の迷路 (集英社文庫)感想
正直驚いた。前2作と全く様相が違う。まさに、北欧ノワールへと昇華を遂げている。フィンランドにおける人種差別と政治腐敗を中心に、カリ・ヴァーラを始めレギュラーキャラクターが闇の世界に翻弄されていく。前2作では「正義」を全面に押し立てて、凄惨な事件の解決に努めているが、本作は「正義」の名だけでは処理しきれない何かが蠢いている。表面上の「正義」を貫けば、深層的な「腐敗」を助けることになり、「腐敗」を除去しようとすれば、「正義」が成り立たない。暴力と麻薬と政治、どこか60年台〜70年台のアメリカを見ているようだ。
読了日:1月25日 著者:ジェイムズトンプソン
凍氷 (集英社文庫)凍氷 (集英社文庫)感想
性的描写がストレートなのと、前作同様暴力的かつビジュアル的な殺人と死体表現で、クライム要素を醸し出している。だけど、カリの内面を書けば書くほど、暗さや重さが減っていくような気がする。本作で取り上げた、フィンランド第二次世界大戦下の闇や政治的有力者を取り巻く性と金の堕落がメッセージとして伝わりにくくなっていて、深層の悪が柔らかくなった印象へ繋がってしまう。ただ、カリのアウトローな部分がよく伝わってくるので、読者は彼に感情移入ができて読みやすいのだと思う。事件だけではなくカリに振りかかる災難は続く。
読了日:1月22日 著者:ジェイムズ・トンプソン
極夜 カーモス (集英社文庫)極夜 カーモス (集英社文庫)感想
風景も殺人も死体も描写がとてもビジュアル的なのが特徴か。ミステリとしては、解決部分が唐突すぎるきらいがある。もう少し丁寧に証拠提示か理詰めで解決して欲しかった。ノワールとして評価が高いようだが、フィンランドにおける人種差別や宗教の深部のえぐり方が浅く、事件に絡めた程度なので、本当の闇の部分が見えてこない。全体に潜む暴力的なノワール要素は書けているが、事件の裏に潜む社会のアンタッチャブルなダークさや人物の心理描写が書けてくるとノワールとして完成されてくるのだろう。とても荒削りだが、今後を期待させてくれる。
読了日:1月19日 著者:ジェイムズ・トンプソン
死の翌朝 (論創海外ミステリ)死の翌朝 (論創海外ミステリ)感想
これがナイジェル・ストレンジウェイズの最後の長編。今まで未訳で残っていたのが不思議なくらい。往年のキレは陰を潜ませてしまった印象。舞台は60年台のアメリカ。ナイジェルはずっとイギリスで活躍していたので、この設定自体はとても新鮮だった。事件解決までにここまでもたつくとは思っても見なかった。トリックらしいトリックもなく、登場人物も少ないし、わりとわかりやすい犯人にもかかわらずだ。作者は当時のアメリカを風刺するわけでもなく、何か物足りなさが読後に残る。ナイジェルの最後なので、もっと華々しくして欲しかったなぁ。
読了日:1月16日 著者:ニコラスブレイク
狼の王子 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)狼の王子 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
ミステリというよりも、ダークファンタジーを読んだ読後感。叔母と姪2人が殺し合いをした結果の死体が発見されるシーンから始まる。姪2人が書いた日記に、叔母を殺すに至るまでの経過がしるされている。姉の書いた日記には狼の化身となる王子の寓話があるのだが、これが意外にも面白い。話の本筋よりも面白いのだ。ただしその寓話が大きく事件に絡んで来ないので、途中はかなり思わせぶり。姪2人の書いた日記が終わって、日記を読んだ郵便配達員が冒険する、わずか50ページ弱の章がその狼の寓話とシンクロしていて記憶に残った。邦題が見事。
読了日:1月14日 著者:クリスチャンモルク
凍える街 (創元推理文庫)凍える街 (創元推理文庫)感想
ハンネ・ヴィルヘルムセンシリーズの第7弾。ハンネのメロドラマ部分が多数を占めてしまい、事件の捜査や謎解きなどが軽視されてしまっている印象を受けた。開幕すぐに4人の惨殺死体が発見され、ハンネ以下おなじみのメンバーが現場に集結するが、何故か事件よりもお互いの身の上に意識が集中していて、緊張感が薄らいでしまう。クリスマス前だし、容疑者もある程度わかっているから初動捜査は重要視しなくても良い雰囲気が漂っているし。事件に対しして頑張っているのは警察学校の生徒だけに見えるのは、レギュラーキャラへの皮肉にも感じる。
読了日:1月10日 著者:アンネ・ホルト
レイナムパーヴァの災厄 (論創海外ミステリ)レイナムパーヴァの災厄 (論創海外ミステリ)感想
序盤の3角関係を元にした殺人と中盤以降の殺人事件とが分断されてしまっていて、折角の種火を消してしまった印象を受ける。また、最後のトリック一発に的を絞ったためなのか、殺人事件に対する捜査や推理が全く生かされておらず、ストーリーに纏まりを欠いているように感じてしまう。とは言うものの、最後の最後に読みどころが来るので、あっと驚かされるのが良い読者。『或る豪邸主の死』といい、本作といい、なぜにコンニトンは翻訳される作品のチョイスに恵まれないのだろう。『九つの鍵』とかもっと読まれるべき作品があるのに、勿体ない。
読了日:1月6日 著者:J.J.コニントン
岡田鯱彦探偵小説選〈2〉 (論創ミステリ叢書)岡田鯱彦探偵小説選〈2〉 (論創ミステリ叢書)
読了日:1月3日 著者:岡田鯱彦

読書メーター

4年ぶりに復活したMYSCONhttp://myscon.net/)に5年ぶりに参加してきました。
開催発表とともに、日程を調整して行く気満々。参加エントリーは3番目。40超えたおっさんが小学生レベルのウキウキ感で当日を迎えました。
当日、今までのMYSCONの開催時期からは考えられない、蒸し暑さ。不動の開催会場の鳳明館森川別館(http://www.homeikan.com/)でこの暑さを耐えることができるのかと心配して会場入りすると、そこには全室クーラー完備の朗報が。まずは一安心。出迎えるスタッフが暑さで蕩けているのを横目に受付。いつものように名札をもらい割り当ての部屋でひと休み。
17:00から開会式。挨拶する代表のshakaさん(http://d.hatena.ne.jp/shaka/)がとても嬉しそう。まわりを見渡せば、懐かしい顔が並びます。
最初の企画は全体企画の脱出ゲーム「森川別館からの脱出」。5班にわかれ脱出ゲームを楽しみます。脱出ゲームの例題はMYSCONの公式サイトで楽しめます。我が班は、前半戦を2位(実質的には1位だったけど)で折り返し。後半戦の謎解きも苦戦しながら、最初の答えをトップで捻り出したものの、出した答えの「みせてよ金田一」をshakaさんのところに持っていって、爆笑されながらのダメだし。落ち込んでいる暇もなく、スタッフからだされるヒントを元に暗号を解いたところでタイムアップ。もう一押し足りずに脱出失敗。これは問題を作成する方も、解く方もミステリ力が試せてとても面白い企画だと思ったのと、解答解説のppt資料の出来のよさに脱帽しました。
その後は、オークション。出品数は少ないものの、とてもブックオフでは見かけない本ばかり。100円スタートで落札金額もお手ごろ(というか、ちょっと相場的に低すぎる感じも・・・)。で、『ガラスの仮面殺人事件』と『葉山宝石館の惨劇』と『帽子から飛び出した死』の3冊を落札。満足、満足。
個別企画1の2つ「『妖異金瓶梅』読書会」と「ミステリアンソロジーをつくろう!(但し、ドラフト方式で)」の時間は、高年齢層組で温くミステリ談義をしておりました。こういう座談から色々と知識を仕入れられるのもMYSCONの良さ。
個別企画2は、ゲストのミステリ作家 北山猛邦先生(http://trickhazard.blog87.fc2.com/)の持込み企画「シャーロイド(仮)をつくろう」と「講談社ノベルスを中心に個人的に一番面白かった新本格をまったりゆるく語り合ってみたら意外と面白いことがあるかもしれない企画」(略称:ココいちばん)の2つ。シャーロイド気になりつつも、ココいちばんに参加。フクさん(http://www.h4.dion.ne.jp/~fukuda/)お手製の、講談社ノベルズ創刊から2000年までの発刊タイトルを列挙した資料をもとに、市川尚吾さん解説でゆるくダラダラと懐古しながらの回顧話。市川尚吾さんから繰り出される解説と薀蓄を聞いていると、探求本が増えていく不思議。これだからミステリ読みはやめられません。予定の1時間をはるかにオーバーして都合2時間の長丁場。パネラーのお二人ともお疲れ様でした。とは言え、今回は2000年までだったので、次回は2000年以降の作品で盛り上がるんでしょう。
0時過ぎてからは、大広間でshakaさんの出版業界への熱いダメだしを聞き、軽い休憩をはさみ、MYSRECの予行練習。これまたとっても単純な連想ゲームなんだけど、ポーカー形式のチーム戦のようにすると盛り上がることが分かり、1時間以上も遊んでしまう。色々と凝ったものよりも単純なゲームのほうが意外と盛り上がるし、参加してる感が得られるのかも。30分ほど、ミステリ縛りの山手線ゲームをした後、shakaさん講演会第2部がスタート。今後のMYSRECを交えたMYSCONのありかたなど、明け方近くまで延々と話合う。北山先生も参加して、読み手と書き手の考え方の違いや、レクリエーションでの融合のための施策とか、MYSCONでしかできない会話を堪能。
あっという間に楽しい時間は過ぎて、7:00の閉会時間を迎える。「家に帰るまでがMYSCONです」と「MYSCON12でお会いしましょう」の決めセリフを聞いて、終幕。
スタッフの皆さん、参加者の皆さん、お疲れ様でした。MYSCON12でお会いしましょう!

2013年1月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1348ページ
ナイス数:14ナイス

失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 (光文社古典新訳文庫)失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選 (光文社古典新訳文庫)感想
デュレンマットの世界が堪能できる至極の短編集。小説としてのでき云々というよりも、シニカルな世界観に浸れるか否かで、好き嫌いが分かれるのではないだろうか。個人的には「失脚」(2回くらい読まないと相関関係がつかみにくいかも)と「故障」がお気に入り。
読了日:1月29日 著者:フリードリヒ・デュレンマット
ホッグ連続殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)ホッグ連続殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)感想
10年ぶりくらいの再読。デアンドリアは確かに究極の一発屋かもしれないけど、この作品はよくできてると思うよ。犯人もわかりやすいしね。偶然と必然の関係性がすごくスマートに書けてるから、テンポもよくて読みやすい。新版は登場人物の表記も変わったみたいで、読み易くなってるみたいだし。海外ミステリを避けている人に是非読んで欲しい。
読了日:1月23日 著者:ウィリアム・L. デアンドリア
高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)高慢と偏見、そして殺人〔ハヤカワ・ミステリ1865〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
まったくもって、面白さを感じることはなかった。『高慢と偏見』を読んでいないと、全然世界観がわからないし、キャラクターにも感情移入できない。読んでいてやたらと辛かっただけ。
読了日:1月12日 著者:P・D・ジェイムズ
致死海流 (1979年) (新潮文庫)致死海流 (1979年) (新潮文庫)感想
密室とアリバイ崩しを取り上げた本格モノなんだけど、謎解きがポッと思いつきな感じなので、ワクワク感が楽しめない。全体的に堅苦しい印象。
読了日:1月7日 著者:森村 誠一

読書メーター

2012年12月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1340ページ
ナイス数:11ナイス

緋色の十字章 (警察署長ブルーノ) (創元推理文庫)緋色の十字章 (警察署長ブルーノ) (創元推理文庫)感想
フランスとナチスの問題を扱った重たいテーマなんだけど、それを感じさせない長閑さが全面にでている作品。サンドニ村の風景と人情に支えられた警察署長が魅力的。でも、ミステリとして読むにはパンチにかける。心がすさんでいるのに、ミステリを読みたいときにはいいかも。
読了日:12月29日 著者:マーティン・ウォーカー
黒衣の女 ある亡霊の物語〔新装版〕 (ハヤカワ文庫NV)黒衣の女 ある亡霊の物語〔新装版〕 (ハヤカワ文庫NV)感想
大きな音でわっ!と驚かせても、それは恐怖ではなくて驚きでしかない。言葉が頭の中でじわじわと映像化されて、本の中の主人公と同じ心理で主人公と同じものをみ見ていて、なにか得体の知れない感覚を感じている。ちょっとした物音に敏感に反応してしまう。そんな怖さが味わえる一冊。オチもなんだか背筋が寒くなるようで、映画とは大違い。
読了日:12月20日 著者:スーザン・ヒル
ディミター (創元推理文庫)ディミター (創元推理文庫)感想
迷路に迷い込んでしまったけど、気がついたら迷路から出ていたって言う読後感。迷路の全貌が、第3部で明かされるのだけれど、ちゃんと理解していない部分が残しつつも、ゴールまでの道筋は分かった、なんともモヤモヤとした感じが逆に新鮮だった。宗教的なことも書かれているが、自分の印象には残り難かったかな。
読了日:12月17日 著者:ウィリアム・ピーター・ブラッティ
タイムマシンの殺人 (ダーク・ファンタジー・コレクション)タイムマシンの殺人 (ダーク・ファンタジー・コレクション)感想
各作品ともに「ひねり」に重点を置きすぎて、全体的にボンヤリとした感じになってしまっている。「ひねり」がパチッと嵌っていれば、感じ方は違っていたと思う。”ダーク・ファンタジー・コレクション”として、あえてこのような作品を集めたのかもしれないが、自分的にはいまいち波に乗れなかった。「悪魔の陥穽」だけは、最後になるほどと思ったくらい。
読了日:12月5日 著者:アントニー バウチャー

読書メーター

2012年11月の読書メーター
読んだ本の数:7冊
読んだページ数:2381ページ
ナイス数:51ナイス

巡礼者パズル (論創海外ミステリ)巡礼者パズル (論創海外ミステリ)感想
アチェンジしていくような推理がおもしろい。パズルシリーズがこれで終わりってのは、やはりもったいないなぁ〜。ピーターもアイリスもきっと次の一歩を踏み出して、悔いのないように歩いていくんだよ。
読了日:11月30日 著者:パトリック クェンティン
ロートレック荘事件 (新潮文庫)ロートレック荘事件 (新潮文庫)感想
この手の仕掛けは、前情報がないほうが楽しめるよね。発表されてからかなり経っているので、仕掛け自体枯れた感じ。もう少し読了したミステリの数が少なかったら、凄く驚いたかも。ふだんあまりミステリを読んでいない人にオススメします。
読了日:11月20日 著者:筒井 康隆
ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)感想
色々と途中感はあるけど、これはこれで。ルパンシリーズは昔、わくわくしながら読んだけど、なんとなく乗れないまま終わっちゃったなぁ。
読了日:11月19日 著者:モーリス・ルブラン
黒川芽以 写真集 『 peplum 』黒川芽以 写真集 『 peplum 』感想
大人な雰囲気出しすぎ。でも、もう25歳になっちゃったんだよねー。
読了日:11月18日 著者:
TOKYO YEAR ZEROTOKYO YEAR ZERO感想
この人の本は人を選ぶ。人が選ぶんじゃなくて。最初の敷居がものすごく高いんだけど、ちゃんと中に入れれば、文章そのものが麻薬みたいなもの。デイヴィッド・ピースが映し出す戦後の荒んだ世界に酔いしれること間違いなし。ミステリを超越した、東京ノワールを堪能しよう。
読了日:11月14日 著者:デイヴィッド ピース
彼の個人的な運命 (創元推理文庫)彼の個人的な運命 (創元推理文庫)感想
三聖人シリーズもこれが最後なんだよね。ケルヴェレールのポケットにヒキガエルが入っている率が低かったなぁ。ヴァルガスは、遠まわしの形容詞がなくてすっきり読めるのがよい。前作からそうなんだけど、探偵役がケルヴェレールに変わってしまったので、三聖人の出番がちょっと少ないのが残念。3人とも独特のキャラクターで楽しませてくれるのに。三聖人シリーズはアダムスベルグシリーズとは雰囲気も作風も違うので、読み比べてもらいたいね。
読了日:11月9日 著者:フレッド・ヴァルガス
鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)鉄鼠の檻 (講談社ノベルス)感想
謎もなにもあったもんじゃない。事件事態にひねりなんてないじゃん。短編でもいいんじゃないか? という考え方の「檻」にとらわれているんだろうな。『姑獲鳥の夏』と『魍魎の匣』を読んでおくと、楽しさ2倍増し。禅の薀蓄を理解しようとしないで、京極堂の世界を楽しめれば、それでよし。 それにしても、本作の榎木津の印象は「かっこいい」の一言につきるね。
読了日:11月2日 著者:京極 夏彦

読書メーター